2010年09月03日

コミックラウドの原稿データ仕様(3)

昨日アップした画像データ64KBの件ですが、確認が取れました。2010年6月25日に出された新しいimage guidelineによると、最大127KBまで画像ファイルのサイズが拡張されたとのことです。これにより、より精細な画像が使用可能、となっています。

> Image guideline #2: automatic image conversions
> The Kindle file format internally supports JPEG and GIF images of up to 127KB in size. This is double the previously-supported maximum of 63KB, and provides for richer nuances in images, particularly for large images, or content with gradient patterns.

また、同ガイドラインの4番によれば、写真を載せるなら600x800ピクセル以上にせよ、となっています。またquality factorを40以上にキープせよとも書いてあります。

> Image guideline #4: photographs
> Photographs should use the JPEG format with a quality factor of 40 or higher. Photographs should be provided with the highest resolution available to you.

> Photographs should not be too small. Please make sure your input photos are at least 600x800 pixels in size, unless you optimize them yourself according to the previous guideline. Photographs of less than 300x400 pixels are much too small and can be rejected.

漫画もやはり高精細な画像を使いたいところですから、600x800ピクセル以上、64KB以上のデータにしたいところですが、ファイルサイズが大きくなるとデリバリコストもかかりますし、当面は極力64KBのラインを守る予定です。

それでも細かい書き込みのあるページに少し余裕を持たせられるのは有難いことです。

なお、Amazonは(myaccount)@free.kindle.comというアドレスに文書ファイルを送ると、Kindle用のデータに変換してくれるドキュメント変換サービスを提供しています。しかしこのアドレスに送った文書ファイルに64KBを超える画像データが含まれていると、それらは圧縮されてしまいます。たぶんこのサービスで使用するコンバータは、まだ上記の新しい仕様に則っていないのだと思われます。

Amazon DTPにアップロードし、プレビューを使って画像を確認して見ると、64KBを超える画像であっても圧縮されずにきちんと表示されます。

というわけで、今月発売の第二号では、ほんのちょびっと第一号より画質が向上しているはずです。お楽しみに。

(松)
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2010年09月02日

コミックラウドの原稿データ仕様(2)

コミックラウドの仕様 第二弾は今度の週末に書こうと思っていたのですが、yosssoyさんからの情報があまりにクリティカルヒットだったので緊急で。(注:本記事は速報であり、まだ詳細な検証・確認が済んでおりません。その点ご注意下さい)

昨日のブログで「Kindleには画像1枚あたり最大64KBの制約がある」と書きましたが、どうやらこの制約は既に128KBに緩和されていたようです。Amazon公式の電子書籍作成コマンドラインツールKindleGenのRelease Notesのversion 1.1 build 98に以下の記載があります。

> Added support for image sizes up to 128KB.

実際にKindleGenで.mobiファイルを作り、それを.azwフォーマットに変換してKindle for PCで表示したところ、64KBを超える画像データも縮小されることなく表示されました。ただし、KindleGenを使わずにzipped HTMLを作って.azwファイルを作成してみると、従来どおりに64KBを超える画像は縮小されてしまいました。

この点をAmazon DTPのフォーラムで質問したところ、Amazon DTP自体、既に127KB以下(注:128KB未満の意味と思われます)まで緩和されているよ、というレスがありました。しかし上記のとおり、KindleGenを使わないと64KB超えの画像データは縮小されてしまいますので、再質問を投げているところです。

64KBを超えるデータが利用可能になったといっても、あまり多用すると本全体のファイルサイズが大きくなり、デリバリコストが増加して本の単価に影響が出ます。ということからやはり基本は64KB以下に抑えるということになりそうです。

先日の米光ラジオでも「64KBの壁がある」みたいなことをつぶやいたばかりで、大変恥ずかしい限りなのですが、誤りを改めるに憚るなかれということでご容赦の程を。yosssoyさん、貴重な情報を誠に有難う御座いました。

(松)
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2010年09月01日

コミックラウドの原稿データ仕様(1)

昨日放送されました米光ラジオでも電子書籍での漫画原稿の描き方/仕様について様々なお話が出ておりましたが、我々コミックラウド編集部も、実際にやってみるとわかる様々なノウハウがたまってまいりました。それを少しずつ公開して行こうと思います。

第一回はコミックラウドの使っている原稿データの仕様についてです。ただし、これはKindleプラットフォームを前提としたもので、iPad等の他プラットフォーム向けのデータについては別の仕様を設定する可能性もあることをあらかじめお断り申し上げます。

まずKindleにはディスプレイサイズが6インチのもの(Kindle)と9.7インチのもの(Kindle DX)があります。発売時期や価格を考慮すると、普及台数の多いのは6インチのものと思われますので、こちらを基準としてデータ仕様を設定することにしました。

Kindleの6インチディスプレイは画素数が縦横800x600ピクセルあります。しかし今読んでいる位置を示すインジケータ等が画面上に表示されるため、通常はこのうち550x450ピクセルのみコンテンツの表示に使用できます。ズーム機能を用いることにより、画面全体を使って表示することができますが、次のページに進むためには、一旦ズームを解除してからページめくりをする必要があります。

このことから、amazon.com内にあるAmazon DTPのフォーラムには「1ページもののさし絵を入れるなら画像サイズは550x450に」といった情報が上がっています。ところが、Kindle for PCやKindle for Macでは等倍で表示されますから、このサイズの画像はかなり小さく表示されてしまいます。

最近のPCモニタは大画面のものが多くなってきていますから、これはかなりイメージが良くない。かといって、あまり縦横のピクセル数を大きくすると、画像1枚あたり64KBの制約(Amazonによる)に引っかかってしまいます。

これらの兼ね合いから、現在コミックラウドでは733x600ピクセルの画像を標準仕様として採用しています。これですと、6インチKindleでズーム表示したときにちょうど等倍表示され、かつ550x450ピクセルの通常表示とアスペクト比がほぼ同じのため、通常表示のときも表示領域を有効に使うことが出来ます。

ただしこのサイズの画像は、ファイルサイズ的には64KBの制限に対してギリギリのところで、細かい描き込みがなされると容量オーバーをしてしまいます。一部のページだけ小さなサイズにするということは出来ませんので、その場合はアスペクト比を維持したまま全ページのデータを少し小さくしています。

Amazonが64KBの制約を緩和してくれるとこういうところに神経を使わなくても済むのですが、一方でファイルサイズが大きくなりますから、読者にとってはダウンロードに時間がかかることになります。そのあたりのバランスが非常に難しいところです。

[Kindle用データ仕様]
画像サイズ:縦733ピクセルx横600ピクセル
ファイルサイズ:最大64KB(Amazonの制約による)
注意点:あまり細かい描き込みは避ける

第二回は原稿の仕様についてまとめる予定です。

(松)
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