第一回はコミックラウドの使っている原稿データの仕様についてです。ただし、これはKindleプラットフォームを前提としたもので、iPad等の他プラットフォーム向けのデータについては別の仕様を設定する可能性もあることをあらかじめお断り申し上げます。
まずKindleにはディスプレイサイズが6インチのもの(Kindle)と9.7インチのもの(Kindle DX)があります。発売時期や価格を考慮すると、普及台数の多いのは6インチのものと思われますので、こちらを基準としてデータ仕様を設定することにしました。
Kindleの6インチディスプレイは画素数が縦横800x600ピクセルあります。しかし今読んでいる位置を示すインジケータ等が画面上に表示されるため、通常はこのうち550x450ピクセルのみコンテンツの表示に使用できます。ズーム機能を用いることにより、画面全体を使って表示することができますが、次のページに進むためには、一旦ズームを解除してからページめくりをする必要があります。
このことから、amazon.com内にあるAmazon DTPのフォーラムには「1ページもののさし絵を入れるなら画像サイズは550x450に」といった情報が上がっています。ところが、Kindle for PCやKindle for Macでは等倍で表示されますから、このサイズの画像はかなり小さく表示されてしまいます。
最近のPCモニタは大画面のものが多くなってきていますから、これはかなりイメージが良くない。かといって、あまり縦横のピクセル数を大きくすると、画像1枚あたり64KBの制約(Amazonによる)に引っかかってしまいます。
これらの兼ね合いから、現在コミックラウドでは733x600ピクセルの画像を標準仕様として採用しています。これですと、6インチKindleでズーム表示したときにちょうど等倍表示され、かつ550x450ピクセルの通常表示とアスペクト比がほぼ同じのため、通常表示のときも表示領域を有効に使うことが出来ます。
ただしこのサイズの画像は、ファイルサイズ的には64KBの制限に対してギリギリのところで、細かい描き込みがなされると容量オーバーをしてしまいます。一部のページだけ小さなサイズにするということは出来ませんので、その場合はアスペクト比を維持したまま全ページのデータを少し小さくしています。
Amazonが64KBの制約を緩和してくれるとこういうところに神経を使わなくても済むのですが、一方でファイルサイズが大きくなりますから、読者にとってはダウンロードに時間がかかることになります。そのあたりのバランスが非常に難しいところです。
[Kindle用データ仕様]
画像サイズ:縦733ピクセルx横600ピクセル
ファイルサイズ:最大64KB(Amazonの制約による)
注意点:あまり細かい描き込みは避ける
第二回は原稿の仕様についてまとめる予定です。
(松)